タクティクスオウガ 運命の輪

プレイ時間は70時間ぐらいだった気がする。
死者Qの90F台でなんかどうでもよくなって終了。
ちなみに、オリジナル版は「全ルートをひと通りクリアした」程度。
ネットも攻略本も手元に無かったので、まともに死者Qに潜ったことはなかったし、詳しいシステムはサッパリでした。


操作性とか

快適な部分と不快な部分の差が激しい。
開発者の意思疎通取れてなかったんじゃないか。


「C.H.A.R.I.O.T.」は驚くほど快適。
これだけは本当に快適であり、最序盤から頻繁に使用するシステム(人によっては縛るだろうけれど、それはそれ)でもあるので、結果的に「このゲーム快適だぞ」と錯覚してしまう。
や、うん、「C.H.A.R.I.O.T.」は素晴らしいんだけどね。
「C.H.A.R.I.O.T.」は。


「敵の思考が早い」と評している人もそこそこいるみたいだけれども。
確かに選択肢が限られている序盤こそ、ほぼノータイムではあるのだが、うん、普通じゃね。
そりゃアドバンスド大戦略メガドライブ(「学校に行って帰ってきてもまだ敵のターン」と言われていたほどCPUの思考時間の長いゲーム)と比べれば、無印メルブラの志貴とReActの七夜ぐらいのスピード差はあるだろうけれど。
DS版FEの「敵ターン丸ごとスキップ」を体験している(自ターン終了→敵のターン開始直後にSTART→ドーガ「マルス様ご武運を……」)ので、「思考時間を感じ無い」程度じゃプラスポイントにはならんわな。
前置きが長くなったけれど、「『序盤は』ノータイム」と言ったことから分かるように、中盤以降、敵のニンジャの思考時間が鼻につくようになる。
長い時はターンパンチを溜められるぐらいゆっくり考えていってね!!
ターボだったら波動拳も抜けちゃうよ。


それだけ考えるのなら頭がいいのかと思いきや、概ねAIは馬鹿。
意味のない&効果の薄い補助魔法が大好きであり、範囲攻撃魔法を撃てる時も毒麻痺しか撃って来ず(≒こちらの魔法防御がある意味死にステータスになってる)、MPが溜まり次第補助魔法をかけまくるので強力な魔法を撃てず(魔法自体が相当弱体化入っているのだが)。
ナイトやテラーナイトも魔法を使えるので、殴れる位置に敵がいても、やることは敵の目の前まで行ってから敵に毒麻痺or後を向いて味方に補助魔法。
いや、そこまで行ったら殴れよお前ら。


魔法が使えないユニットはそれほどアホな行動をしないのだが、こちらと戦力差がついていると、どんどん後退していって画面端に一列に並び始める始末。
常に気分はバルバロッサですよ。
弓持ちだけは割とまともに動いていると思うのだが、その他8割ぐらいのユニットの思考が死んでいるので……


店。
買った装備もその場で装備できず、ワールドマップまで出てメニューを開かなければならない。
2、3秒で終わる操作とはいえ、不便なのは事実。
で、前にも書いたしたけれど、最大の糞インタフェースである合成。
語りたくもないので、責任者は放水してきた方が世のためになると思うよ。


セーブロードの時間は普通(若干早め?)。
パッドリセットは(多分)無いけれど、大抵の画面からタイトル画面に戻れるので、それほど不便は感じず。


大抵のイベントシーンはSTARTで飛ばせるのは周回に優しい。
イベントによっては複数回STARTしなければならないのが、何となくスパロボのスキップを彷彿させる。


シナリオとか

細かいイベントは追加されたり修正されたりしているけれど、大筋はオリジナル通り。
追加イベントに関しては、賛否のうち否の意見が多い模様。
なんだろな、公式なのに同人臭いのが多いイメージ。
それをやっていい作品とやっちゃダメな作品があり、TOは後者に分類される作品だというのは分からなかったのだろうか。
既存イベントの改悪ポイント(と言われているもの)は、オリジナルをそれほど覚えていない自分は気づけなかったので、思い入れがある人以外は問題ないんじゃないかな。
ん、それを言ったら同人臭いイベントも同じか。
リメイクは難しいな……


バランスとか

WTの基本値はキャラ毎に決められており、レベルアップやドーピング等で育つことは一切ない(と思う)。
スナップドラゴンでWT1いえーは過去の遺物。
WTの増え方(移動も攻撃もしなければ50%、どちらか行えば75%とか)もかなり変わっており、軽装備で挑んでも、重装備キャラが10回動く間に11回ぐらい動ければいいかなーという程度。
実戦では、行動順が早くなることはあっても、行動回数の増加に繋がることはまず有り得ない。
うーん、WT1はやり過ぎでも、うーん、もう少し、こう、ね、調整のしようはあったと思うんだ。


1章のバランスは素晴らしい。
2章もまだいける。
が、3章ぐらいになってくると不安になってきて、4章でわぁい。
というゲームバランスです。
システム的に周回を推奨しているが、周回する頃になるともはや無双ゲー。
どんな敵も弓1発で落ちるよ、やったねたえちゃn
「レベル引き継ぎで周回するんだから、そりゃ無双になるんじゃね?」と思う人もいるかもしれないけれど、敵のレベル(や装備やスキルetc)はこちらのレベルに合わせて出てくるので、そうはならない……はずなんだけど。
1周目中盤の時点で、桃白白@柱の如くゲームバランスがぶん投げられているので、高いレベルで一番いい装備を来て出てきても、うん。


「C.H.A.R.I.O.T.」の目新しさと快適さ、1章のいい感じのバランス、オリジナルで強かった弓と魔法の下方修正(実際は、前者は相変わらず、後者は弱体化し過ぎなのだが、1章の時点ではそうではない)等、プレイ開始後数時間後は「これはオリジナルを尊重した素晴らしいリメイク」と思わせてはくれるのだが。
こうもぶん投げられているゲームバランスを見ると、逆に「ファミ通のレビュー受けしか狙ってないんじゃね?」と勘ぐってしまう。
そういう打算すらも無く、ただ放り投げただけ、という線も濃厚の気がするが。


レベルは、キャラ毎に設定されてはおらず、クラス毎に設定されている。
つまり、ニンジャでレベル30まで上げたデニム君も、ロードにクラスチェンジすればレベル1から。
逆に、序盤で仲間になって以来一度も出撃していないプレザンス神父も、ニンジャになればレベルは30に。
基本的に「同じクラスであれば誰でも同じパラメータ」という触れ込み。
そんな感じ。
なのだが、「出撃している時に就いているクラスのレベルが上がったキャラ」は、ベースとなる全パラメータが上昇するという仕様があり、結果的に最初から使っているキャラの方が強くなる。
また、敵はそれが無いのか、序盤のうちは「同じレベル&同じ装備&同じクラス」のこちらのキャラとほぼ互角なのだが、高レベル帯になると「同じレベル&同じ装備&同じクラス」でも「こちらが攻撃すると400ダメージ、敵が攻撃しても80ダメージ」ぐらいの差がでてくるようになる。
この仕様が、中盤以降バランスが崩壊している最大の理由だと思われる。


上記に関連して、途中でソードマスターやらロードやらになれるようになっても、レベル1から育てて行かなければならないので、非常に面倒。
一応低レベル帯ではレベルは上がりやすくはなっているものの、オリジナルの石投げトレーニングと比較すると、オヤジ戦車とアストラルデビルぐらいのスピードの差がある。
オリジナルは何だかんだいって上げようと思えばそれほど時間をかけずにレベル50のキャラを作れるし、一人でも作ってしまえば後は幾らでもレベル1→50のキャラを量産できたものだが。
また、レベル上げの手間云々の前に、オリジナル以上の弓ゲー故に、最初から就けるアーチャーになっていればいいので、そもそも他のクラスのレベルを上げる気も必要性も存在しない。
世界樹1のゴレンジャーは割といけるパーティー構成ではあったが、PSP版TOは12アーチャーが超鉄板というおかしな事態に。
アーチャー以外に目を向けると、せいぜい、アーチャーより火力に劣るが両手弓を使えて移動力に長けるニンジャが第二候補として上がるくらいか。
ベースパラメータを最大にすれば、多分ニンジャでも一撃で倒せるようになるだろうから、そうなると最終的にはニンジャになるのかな。
でも、よほどやり込まない限り、プレイ時間の9割はアーチャーに就いていれば問題ないかと。


またまた上記に関連して、最初から居るキャラとベースパラメータの差に開きがあるため、顔キャラが総じて弱い。
アロセールもハボリムも、被スナップドラゴンに定評のあったヴォルテールさんの足元にすら及ばないですよ。
まあ、ベースパラメータにも上限があるので、MAXにさえしてしまえばヴォルテールは所詮ヴォルテールなのだが、レベル上げが非常に困難になっているが故に、よほど極まった人じゃないとそこまで上げようという気にすらならない。


キャラ毎のエレメントが廃止になった。
エレメント自体は「地風水火」の4つから「地風水火雷氷」の6種類に増加し、魔法もその分増加したが、キャラに付随していたエレメントが消滅したため、「相手の弱点の属性を突いて〜」という戦略性は存在しない。
違うエフェクトで同じダメージが出る魔法が増えただけと言える。
補助魔法に関しても、結局「バフしてる暇があるなら両手弓で射抜け」というバランスなので、使う要素がない。
それを言うなら、攻撃魔法に関しても同じで、全体攻撃ではなくなった竜言語等も同様。
オリジナルはINT+MENだかが一定値以上になると範囲攻撃になったりもしたが、今作はそういうのが無く、「この魔法はこの範囲」と決まっている(総じて狭くなっている)のも、大きな弱体化要素か。
また、MPの増加速度が非常に遅くなったので、中盤までは最下級レベル魔法を毎回使うMPすら確保することができない。
オリジナルは弓&魔法ゲーだったが、弓が更なるアッパー修正を受けた(というよりバランス調整放置の結果、蓋を開けてみたら異常に強かったというだけの気がする)のに対し、魔法は「初代→真」のナコルルぐらいの弱体化を受けたので、もはや死にシステムに。
敵AIが無駄に補助魔法を掛けあってるのを見せられて、プレイヤーのストレスを増加させるためだけのシステムです。


他にもオリジナルとの相違点は数えきれないほどあるけれど、その8割は「両手弓で射抜けばおk」で片付く気がする。
オリジナルも弓ゲーだったけれど、それまでのSRPGには存在しなかった(或いは非常に馴染みの薄かった)「高さ」を導入し、「高いところに登れば遠くまで弓が届く!すごい!リアル!3DO!食卓!飯野!リグレット!モナカ無い!」と持てはやされた頃と時代が違うので、15年後に同じことをやられても困っちゃう。
それも「移植」ではなく「リメイク」で。


絵とか

オリジナルを尊重したいいリメイクだと思うよ、ここは。


音楽とか

「オリジナルよりSEが劣化してる」という声を聞くこともあるけれど、そこまで覚えてないので個人的には問題なし。
ただ、戦闘開始前の「ファディダ」が無くなっているのはどうかなーと思った。


総評

並の並。
原作信者は絶望しているし、個人的にも酷く凡ゲーになってしまったなーとは思っているけれど、戦闘の操作性は快適で「両手弓で射抜く」という楽しさはあるので、つまらなくはない。
信者補正が入っていれば下の下ぐらいだったろうが、そこまでの思い入れは無かったので。
戦闘バランスさえしっかりしていればなーと悔やまれる一品。
まあ、納期に間に合わせるために30%だか内容削ったゲームじゃ、仕方ないんじゃね。
確か松野自らそう言ってたよね。
「作品」じゃなくて「商品」じゃ、まあ、こんなもんなんじゃね。
あ、オズ様は15年経っても話の分かるッ!人でした。
その点だけは評価。