ひぐらしのなく頃に祭
システム
ゲーム起動時に「システムデータをロードしました」的なダイアログが2回出るのがうざいが、そこさえ抜ければPS2のくせに異常なまでにセーブ&ロードが早い。本当にセーブできてるかどうか不安になるほど。
また、メッセージ履歴も快適。
まず、レスポンスがいい。
もっさり開いてもっさり閉じることゲームが多いが、これはシャッキリピッキリ。
音声(一部の効果音も)が流れている時に履歴ウインドウを開くと再生が止まるが、履歴を閉じればまたそこから再開する。
開始時から終了時までずっと保持しており、大災害が起こるぐらい終盤まで進んでいても、序盤のほんわかとした部活の頃の履歴を読むことが可能。
更にその場所からロードすることもできる(やっぱり超っ早)。
そんじょそこらのPCゲームよりよっぽど快適。
音声。
メッセージが表示されてから音声が流れるまでラグがあるのか、音声の冒頭に無音の部分が儲けられているのかは知らんが、心なしか少し遅れて再生される。
基本的に最後まで台詞を聞くことはほとんどなく、ポンポン読み飛ばすので比較的軽視している要素ではあるが、だからこそメッセージが表示された瞬間に再生してくれないと、ずっと無音のまま読み進めることになってしまう。
「次の音声が再生されるまで音声を停止しない」的な設定があればよかったのに。
CG。
テキストのボリュームに対して、少なすぎるような気がする。
この文章量だと、差分抜きで100枚以上は欲しいところ。
というのは欲張りなんだろうか。
一部、若干微妙なバランスのCGが混入しているが、概ね良好。
アニメ版みたいに、いい意味で壊れているCGがあれば尚よかったのに。
スキップ。
R2で普通のメッセージスキップで、STARTで次の選択肢まで一気に飛ぶ(シーンスキップとか言うんだっけ)。
未読スキップをONにしてSTART連射すれば、10分もあれば澪尽しまで終わるかと。
まあ、そこまで豪快に飛ばす人間はあまりいないだろうが、「鬼隠し編は2回やったからもう読みたくないぜ」とかって人には、未読スキップオン+STARTの組み合わせは非常に強力な戦力になると思われる。
選択肢。
どっちにもカーソルがあっていない状態で出現してくれるので、ボタンを連射していても勝手に選ばれることはない。
基本的なシステムだけど、その基本がなってないゲームが多過ぎるんだよな。
TIPS。
一部のTIPSは本編(主に各シナリオ突入前の序盤)に組み込まれているため、NEWと表示されているTIPSでもついさっき本編で読んだシーンだった、ということが往々にしてある。
原作ではTIPS入手時に本編の流れが一時的に止まるため、小休止も兼ねてTIPSを読むという流れが確率されていたが、PS2ではTIPS入手後も滞りなく本編が進行するため、なかなか見ようという気が起きない。
まあ、原作になかったTIPSを入手したときはすぐに飛びついていたので、ただ単に食趣が動かなかっただけかもしれないが。
そう考えると、原作のあのインターバルは小休止+TIPS閲覧という2つの意味を兼ねた、実は奥が深いものだったのかもしれない。
穿ちすぎか。
ただ、TIPS「悪魔の脚本」。
罪滅し編クリア前に閲覧可能になるのはまずいと思うのだが。
フォント。
テレビがさほど大きくないせいもあるのか、なんか読みづらい。
画面下に3行出すより、原作通り画面全体に被せた方が好みなんだけどな。
シナリオ
CERO指定がZではなくDになっている代償か、非常に多くの表現が緩和されている。辺りが顕著か。
直接的な表現が変わっているだけならまだいいが、シーンそのものが変わっている場合もあるため、大変頂けない。
素直にZ指定にすればよかったのに。
どうせ買う面子なんて決まってるようなものなんだし。
ああ、でもそうすると、販売以外に広告とかでも制限受けるんだっけ。
うーむ、世知辛い世の中になったものだ。
盥回し編。
他のシナリオに入る条件を満たせなかった時に強制的に突入する、いわゆる雅史エンド。
1周目から突入可だが、詩音が登場したり大災害が描写されたり赤坂が出てきたりと、言葉通り鬼隠し編〜暇潰し編を盥回しされるようなシナリオなので、どう考えても1周目で入れちゃまずい。
そのくせ、内容が超薄っぺらい。
いわばチンカス。
存在する意味ないよこれ。
条件満たせなかった時に入るのは鬼隠し編でいいじゃん。
憑落し編。
「圭一」「レナ」「詩音」が揃って暴走するという、想像するだけで未来がないシナリオ。
状況が状況なだけにもっと面白くできたと思うのだが、なんか微妙だった。
綿流し編や罪滅し編は、暴走するまでの経緯が事細かに描写されているからいいが、憑落し編はただの暴走にしか見えない。
や、そりゃ鉄平さんこんにちわだけで十分な理由だとは思うが、それにしても他のシナリオに比べて薄っぺらくみえる。
あと、クリア後にTIPS「悪魔の脚本」を入手するのだが、駄目じゃね?
罪滅し編クリア前に学校篭城事件をネタバレするのはよくないと思うのだが。
原作通り、罪滅し編クリア後に入手するTIPSでよかったじゃん。
澪尽し編。
他の追加シナリオがしょんぼりっくな出来だったので不安だったが、これはよかった。
これだけで十分元は取れる。
祭囃し編はルールZの破壊をすっぽかしていた(ルールXは片鱗すら見せなかった)ので、圭一が空気のような存在だったし、沙都子に対する村の風当たりは据え置きのままってのはどうなのよ?……って感じだったが、澪尽し編はルールX〜Zまで全部破壊してくれるので、非常に気分爽快スカッドハンマー。
空気だったKが一気に主人公に昇格。
梨花共々、勢い余って超人になりすぎたような気がしないでもないが、それはそれでよし。
ひぐらしは推理物じゃなくて物語として楽しまなきゃならないんだから、今更細かい野暮なことは言いっこなし。
冒頭からして祭囃し編とは違うので、序盤は全く違う展開(強いていえば皆殺し寄り?)になり、「東京」が明るみになってくる中盤以降は、祭囃し編の各場面を上手く取り込みつつ、やはり前提が祭囃し編とは全然違うので、独自の結末に向けてレッツラゴー。
茜&大石の墓参りがあってよかったよかった。
やっぱあの和解のシーンは必要だよねー。
祭囃しと比べた各キャラの印象は
- K:空気から超人主人公に昇格
- 梨花:より頑張ってたような気がする
- 羽入:キムチでも食ってろなのですぅー
- レナ:据え置き(比較的空気)
- 魅音:正ヒロインに昇格
- 詩音:ナイスぷち暴走
- 茜:ポン刀を振り回せる日が来てよかったね
- 葛西:空気だったなあ……
- 沙都子:詩音共々、祭囃し編より救われたかと
- 入江:出番は少なくなったけどこっちの方が格好良かったかな
- 赤坂:出番をKに取られて空気化
- 冨竹:赤坂の出番減少の煽りを食らって空気化
- 鷹野:黒幕としての威厳がアップ
- 大石:「んほぉ」って言ってた
- 熊ちゃん:出番がアップ!
- 小此木:出番を鷹野に取られちゃった
ってな感じですかな。
祭囃し編にしか見せ場がなかった赤坂&冨竹&葛西の3人はお気の毒。
いや、でも、冨竹はこっちの方が醜態を晒してないからいい……のかな。
圭一と園崎母娘の進出振りは目覚ましい。
これまで魅音が正ヒロイン(or主人公)として据えられたシナリオがなかったから、まあ妥当なところでしょうな。
梨花より目立ってた気がする。
魅音尽し編は伊達じゃない。
選択肢。
各シナリオ突入前の選択肢は、ない方がよかったと思う。
というか、「各シナリオ突入前のシナリオ」自体要らなかったんじゃないか?
選択肢Bを選んでも選択肢Aの内容を聞いたことがあるかのように進むことが非常に多く、整合性が全く取れていない。
また、自分である程度突入できるシナリオを選べるのはいいが、暇編し編までのネタバレが詰まっている盥回し編に1周目から入れるのは、首を傾げざるを得ない。
反面、各シナリオ突入後の選択肢はアナザーエンドを見れてよかったと思う。
まあ、口封じで消されたり、直接的に殺されたり、爆発したりと、「ざんねん! わたしのぼうk」な終わり方が大半だけど、それはそれでケムコニストとしてのちがさわぐ!
音楽
効果音は同じようなものが使われているが、音楽はもうオリジナル。you(と派生するアレンジ)がないのがひたすらに痛い。
まあ、各種ボーカルはそれなりに気に入ったので、まあいいかな。
しかし、限定版に入ってるサントラにショート版しか入ってないのはショックだった。
同時期に発売されたシングルを買えということなのか。
くそぅ。
絵
イベントCGも背景も少ない。重要そうな場面で平然と違う場所の背景を使いまわすのはやめてくんないかな。
あと、落下詩音のCGがあるのはいいけど、なんで液体が透明なんだろう。
赤いとグロく見えるから透明にしただけなのかもしれんが、状況が状況なだけに脳漿が漏れているようにしか見えなくて、そっちの方がまずいんじゃないかと思う。
や、まあ、脳漿見たことないから透明かどうかは分からないけどさ。
総評
澪尽し編のためだけに6000円払えるなら。もう1度やり直したというのであれば、原作よりこっちの方がいいかもしれない。
肝心なところがぼかされていてヤキモキさせられるけど。