車輪の国、向日葵の少女

デモムービーを見て「お」と思い、興味を持ってOHPを眺めてみたら「!?」となり、感想をちらっと見て回ったら「〜〜〜〜ッッ!!」となったのがきっかけでプレイすることになったこのゲームだが。


システム

クリアしたのは連休前のことなので、細かいことは忘れてたり。
基本的な部分は概ねOKだったはず。
唯一の不満点は、スタッフロールが飛ばせないこと。
このゲームは5章構成になっており、2章と5章終了時にスタッフロールが入る。
で、バッドエンドを除外すればエンディングは5種類あるから、素直に全て見ようとすると10回にも渡って長々とスタッフロールを見せられることになってしまう。
セーブとロードをうまく使えば多少は軽減することができるものの、それでも今の時代に2周目以降もスタッフロールを飛ばすことができない(早送りすらも)というのは、正直いかがなものかと。
まあ、基本一本道のゲームだし、1周するまでは別段何のストレスも感じなかったはず。
多分。
きっと。


シナリオ

世界観はほぼ現代日本と同じ。
唯一違う点は刑法。
日本だと罪を犯せば金を取られたり刑務所に入れられたり切腹させられたりするが、車輪の国では怠慢な者には「1日が12時間しかない義務」、遊びが過ぎる者には「異性接触禁止の義務」など、その罪状に合わせて事細かな義務が課せられる。
課せられるといっても魔法でビビビなんてファンタジーなことはなくて、「特別高等人」という偉い人が12時間経ったら活動を停止する薬をちゃんと飲むか監督したり、異性に触ったりしないか観察することで成り立っている。
で、主人公はその特別高等人になるための最後の試験として、3人の義務者を改心させて義務を解消させる、というのが目的。
もとい、ゲーム開始当時にプレイヤーに与えられる情報。
扱っているテーマがテーマなだけに話は結構重く、死刑を認めている現在の日本の刑法のあり方や、連座制(家族もセットで裁かれるアレ)について、国がどこまでプライベートに介入してもいいかなど、色々と考えさせられることがしばしば。
攻略対象キャラは義務を課せられているいわば罪人であるため、周囲から冷遇されていたり、弱さ脆さ醜い点が露呈していたりするなど、「俺は萌えなキャラに囲まれて幸せにしていたんだ」という松島辺りの人には向かないゲームだと思われる。


じゃあ鬱展開かというとそうではなく、むしろ燃え展開。
起承転転転転結ぐらいしてくれる、先が読めない怒涛の終盤は見ごたえ抜群。
次にどのような展開になるのかは「1巻の時点で悟空がサイヤ人だということを読み解け」というぐらい無理な話なので先読みできないが、序盤から伏線はびっちり張られているが故に「そうきたか!」と感心するだけで、「フリーザよりレッドリボン軍のロボの方が強かった」というやれやれだぜ的な展開にはならないので安心を。
ここだけの話、アニメでしかドラゴンボールを知らない子供の頃は「レッドリ・ボングン」だと思っていました。
ボングンってなんだボングンって。
ボンボンの仲間かうっおーくっあー貴様は電子レンジの中のダイナマイトだおっすおらウッソ・エヴィン
閑話休題
終盤は燃え展開になるとして、中盤は感動系の展開も見せてくれる。
2章は近年稀に涙腺崩壊を起こしたシナリオとして記憶に新しい。
何かに必死で打ち込む姿はいいものやね。


一部キャラの立ち絵がいい感じに歪んでいるが、イベントCGはちゃんとOK。
枚数もそれなりで、レベルも高い。
デモムービーも、自分がそうだったように未プレイ者の興味を引き付けるには十分の出来でグゥ。

音楽

曲をWAVE、歌を片霧烈火が担当しているOPテーマは凄くいい感じ。
劇中のそれっぽいシーンで流れるそれのオルゴールバージョン(だったっけ)も物語を引き立てるのに一役買っている。
けれど、全体的に特徴のない聞いていて暇な曲が多かったような。
まあ、1曲だけでも突き抜けた曲があれば満足できるタイプなので、問題なし。
そして、若本。
そう、何より主人公の上司である若本が最高にいい味を出している。
やはり悪役はこの人に限る。
目で読んでしまえば台詞を喋り終わってなくてもぽちぽちクリックして聞き飛ばしてしまう自分だが、若本の台詞だけは一字一句たりとも聞き逃さなかったですとも。
若本萌え。
残念ながら「ブルァァ!!」はなかったが、シリアスな場面の「リラックスしてもいいぞ」という台詞が「リラァァァッックスしてもいいぞぉー」という若本節全開「トマホォォゥゥゥクブゥゥゥメラァン!!!」節全開だったりと、ギャグは言わないキャラを担当しているはずなのにチョッピリ笑わせたりもする。
あー、神谷明と若本の違いは分かっているから安心して。


総評

「泣き」「燃え」「若本」の三種の神器を兼ね揃えた凄いヤツ。
文句無しの殿堂入り。
や、何の殿堂かは知らないけれども。