最果てのイマ

理由は忘れていたけどラスト間際で止まっていたので、昨日一気にクリアをば。

操作性

システム周りは軽く、倍速ツールを使わなくてもストレスが溜まることはない。
セーブロード関係はちょいと面倒だが、ゲームのシステム上頻繁に行なうものではないので、まあこれぐらい許容範囲だろう。
ただ、バックログ関係はちょいと不親切。
他のゲームであれば十分と言える機能を持ってはいる。
メッセージウインドウではなく全画面にログが展開されるので目的の場所まで戻りやすいし、ニトロのように右クリックで戻れないということもない。
だが、このゲームにはハイパーリンクがある。
第三次αでいうところの用語解説?の豪華版のようなものなのだが、バックログ時は選択できなくなってしまっている。
第三次αはバックログ時も見ることができたので、並行してプレイした時期があった関係上、どうしても不便さを感じてしまった。
シーン毎に細かくチャプターが分かれており、いつでも好きなチャプターに戻ることができるので、もしハイパーリンクを見逃してしまったら、そのチャプターの初めに戻って既読スキップをすればいいのだが、そもそもバックログ時に選択できればそのような手を割く必要はなく。
また、既読であろうとなかろうと、スキップ時は必ずハイパーリンクで止まってしまうため、既読が長く続くシーンでも定期的にスキップを再実行しなければならない。
選択肢がない以上、同様のシステムがあるゲーム以上にハイパーリンクは重要なシステムだったと思うのだが、その周りの操作性がいまいちなのはどうかと思う。
クリアしていなくても回想系が使えるのは○。
というか、クリア=ほぼコンプ=20時間超なので、それまで回想系が使えなかったら凄いマイナスだったと思われる。

シナリオ

良くも悪くもロミオ節大全開。
これはもはや全開というより暴走という形容がしっくりくる。
世間一般では、悪い方向に受け取っている人間が多い模様。
「前半のノリは好きだけど、後半は……」という意見多数。
クロスチャンネルを求めてこのゲームを手にすると、火傷するどころか消し炭一つ残らないと思われる。
好きな人は好きだろう。
だが、この市場にこのテイストを求める人間は100人に1人いたらいい方かと。
ジャンプにアインシュタインの論文を掲載しても駄目だし、その逆もまた然り。
適材適所とは言ったもの。
じゃあこの作品がどのような場ならば大多数に受け入られるかと聞かれれば、それは「この世には存在しない」と答えるしかない。
難解な専門用語(主に通信関係)が飛び交う後半を楽しむには、大前提としてある一定の水準の知識が絶対不可欠。
その上で、複雑怪奇なこの構成を理解することができれば、名作として認定することもできるのかもしれないが、そのレベルまで行けば1000人に1人いればいい方だと思われる。
他人が読んでも理解できない自己満足に過ぎないものでも、自分が自分のために趣味で書いたものならば問題ないだろう。
だが、仮にも商売なのだから、ある程度のエンターテイメント性は必要だろうし、皆がロミオに求めているのはこのようなものではない。
更に、実際にゲームに触り、ある程度進めなくてはその実態を知ることができないため、地雷と認定されても文句は言えまい。
ネウロを一目見て「これは本格推理漫画だ」と思う人がいないように、このゲームも下手な擬態はせずに最初からその本性を曝け出していれば、さほど問題はなかったはず。
SCHOOL DAYSも発売日に買った多くの人間に地雷認定されたゲームの一つだろうが、半ば祭りになったが故に多くの人間に知られ、結果として違う方面の人々から愛されるようになったゲームでもある。
このゲームの問題は、9割方地雷だと思っている人間も心のどこかで「でもなんか凄かった」と思っているが故に、そう大っぴらに非難されることがなく、結果として世間に知れ渡っていない点だと思う。(元々大して注目されていなかった、というのもあるかもしれないが)
で、結局のところ、俺個人としての感想は「面白かった」のだが、絶対に他人に薦めることはないだろう。
そんなこと、とてもじゃないができやしない。
心の中に「こんなゲームもあったっけ」ぐらいに留めておくのがベストだろう。

キャラクター

好物や語尾で露骨に記号化することがなく、それでいてちゃんと各人に個性がある。
多少電波やDQNでもその性格付けには然るべき理由があり、嫌悪感を頂くことはない。
そこら辺はさすがだと思う。
ストーリー上複数人のやり取りが繰り広げられることが多く、見ていて非常に穏やかな気持ちにさせてくれるのだが、音声がないせいか注意していないとどの台詞を誰が言ったか分からなくなることが。
基本的に音声が入っていても全部聞くことは滅多になく、自分のペースでポンポンクリックで読み飛ばす人間なのだが、音声が欲しいと思ったのは初めてかもしれない。
音声なんて要らないやへへーんと思っていたのだが、一瞬でも耳で確認することにより人物認識に多大な貢献をしていたのだなぁと。

音楽

ボーカルはOPとEDの2曲。
何曲かクラシックを使っていることもあり、全体的に大人しめの曲が多い。
結構レベルが高く、OPテーマと、劇中の要所要所で流れるそのアレンジがお気に入り。
やっぱメインテーマは良くなきゃねー。

一枚絵は、塗りも含めてかなり高レベル。
だが、普段の立ち絵は、なんか微妙に違和感を感じるものが多いような気がする。
派手なエフェクトがあったり立ち絵が動きまくったりすることはなく、そこら辺は標準的な感じ。
OPムービーは微妙に違うバージョンが3つ(2つだっけ?)あり、ストーリーの進み具合によってそれっぽいのが挿入される。
派手さはないものの良質なムービーであり、今後のストーリーを示唆する内容になっているので、モチベを上げるのに一役も二役も買っている。
まあ、後半の展開についていけるかは別問題だが。

総評

中の上ぐらい。
音楽やOPムービーで加点すればギリギリ上の下といったところか。
素人にはオススメできない。