ファイアーエムブレム 暁の女神

システム。
ベースは蒼炎。
前作にあった機能はほぼ完備されている。
「ほぼ」というのは、パッドリセットがなくなっているから。
無くす意味が分からない。
マップ中で「中断」すると即座にタイトル画面に戻ることから、技術的に難しいからって理由はあるはずがなく。
それほどリセットが多発するようなゲームではないとはいえ、2007年にもなってパッドリセットも「ロード」コマンドもないゲームは、ある意味貴重。
悪い意味で。


スキルの着脱。
これまで(トラキア&蒼炎)は1度付ければ後はそれっきりだったが、今作は自由に取り外しが効く。
アイオテの盾や光のオーブ、エリートリングや追撃リングなどの特殊なアイテムが、着脱可能なスキルになったと思えば。
長所は持ち物枠を圧迫しないことで、短所は拠点フェイズでしか交換が効かないことかね。
拾得した書で覚えるのはもちろん、キャラが最初から覚えていたスキルを書に戻すこともできるので、これまで身包みを剥がされて倉庫に押し込まれていた2軍キャラは、今度は装備だけではなくスキルまで引っぺがされることになった。
2軍キャラ、受難の時代の到来。
悲しいけどこれ、戦争なのよね。


最上級職用スキル。
蒼炎で言うところの奥義、聖戦で言うところの流星剣とか月光剣とかそこら辺。
「力を3倍にした上で防御力無視のダメージ」「太陽+月光」などと「発動=死」と思って間違いない超性能なのに、最上級職にクラスチェンジさえすれば誰でも取得できるので、なんかありがたみがない。
流星剣はイザークの人しか使えなかったからよかったんだよ。
いかにも一族にのみ伝わる奥義って感じで。
蒼炎の奥義は、主人公専用の「天空」以外は結構微妙な性能だったので、まあよしとしよう。
んー、まあ、スパロボも遥か昔は貴重だった「熱血」は今やあって当然というレベルだし、これも時代の流れということなのだろうか。


店。
最後まで手斧や手槍が買えるので、出品しなくなる前に買い溜めしておく必要はなく、足りなくなった時に買えばよくなった。
うん、よきかなよきかな。
青銅シリーズ(鉄の1つ下のランク)は四部に入るとなくなってしまうので、青銅スキーは三部までに買い込んでおく必要はある。
章ごとに1品限りの掘り出し物が数種類出品されており、性能はいいのだがなかなかに値が張る。
ドーピングアイテムの購入も掘り出し物限定。
青銅や鉄などの安い武器を大量に買い込むか、高い武器を数点買うか、はたまたドーピングアイテムで強化するか。
闘技場がなく資金の調達に上限があるので、その辺りは上手くやりくりしていく必要がある。
こういう金欠に喘ぎながら進むようなバランスは大好き。
ドラクエの面白さも貧乏にあると思っているからね。


支援。
支援レベルが上昇する時の会話が汎用のサラリとした一言会話になり、これまでのようなキャラを掘り下げるような濃い会話はなくなった。
これは至極残念。
ただ、その引き換えに全キャラと支援を発生させることができ、これまたスキルのように比較的自由に付け替えが効くので、より戦略的になったといえる。
ストーリーの進み具合によって大幅に面子が変わるり、こういうシステムにしないと「折角支援Aになったのにあと15章ぐらい経たないと合流できず、他のキャラに支援を変えたいのにあばばばばb」なんて悲劇が生じるだろうしね。


練成。
武器を買う時に資金を+αすることにより、ある程度性能をいじれるアレ。
コイン(練成時に使うとランダムで能力がアップする)の存在により、1円たりとも増額しなくても性能アップを見込めるようになった。
前作では1章にき1回限りだったが、今作では武器を売却したポイントで行なうような形式に変更。
溜まるポイントは武器レベルにより決まっており、残り使用回数が50回でも1回でも変わらないので、当然壊れかけの武器を売った方が効率がいい。
倉庫に溢れている残り使用回数1桁の武器をリサイクルできるようになったといえ、個人的にはいい仕様変更だと思っている。
1周目はほとんど使わなかったが、2周目では活用していこう。


レベルアップ。
拠点でのレベルアップ時のステータスの伸びは、3ポイント固定になった。
成長率が高いキャラは3ポイント固定という仕様が足かせとなるが、成長率が低いキャラや、上限に達したステータスが多くなった場合などは戦闘でレベルを上げるよりもこちらで上げた方がいい。
キャラや成長具合でレベルアップする方法を選択する必要が出てきたということで、より戦略的になった。
リセット連射でオール1アップするまで粘る必要がなくなったのもいい感じ。
必要とはいえ、あまりリセットはしたくないものだからね。
パッドリセットがないせいでリセットするとロード長いし。


バランス。
章にもよるが、序盤厳しく、中盤は楽になり、終盤は面倒になるといういつものバランス。
育成をミスっていても、お助けキャラ的なのがボンボン加入してくるので、終盤に詰むことはないと思われる。
ただ、ストーリー上自軍に加入するのは分かっているとはいえ、そのお助けキャラのステータスが本当に素晴らしいまでに高く、それまで丹精込めて育ててきたキャラより強いというのは、なんかこう。
いや、それぞれの種族の王なんだから強いのは分かるけどね。
コープルのように終盤にレベル1で加入されても困るし、ハンニバルのようにあまりに弱くても困るし。
でもやっぱ強すぎると思うんだ。
ま、使うか使わないかは自由なので、加入してきても使わずに愛着があるキャラで戦っていけば問題なし。
そいつらを使わないと詰むようなバランスってわけでもないし。
俺は使うけどねっ。
あと、魔術師(というよりは賢者以上)系が、聖戦以降のシリーズにしてはかなり弱く設定されている。
全体的に敵の命中が高く(こちらの回避が低い?)、各ステータスの上限が低いので、これまでと同じような感覚で敵陣に放り投げたら、まず間違いなく死ねる。
まあ、1人で100人を相手にできたこれまでがおかしなだけなので、これはいい。
が、魔道書の攻撃力が武器に比べて低く設定されているようで、最強の魔道書で2回攻撃しても倒しきれないなんてことはザラ。
あー、でも、魔道書は特攻を得やすいから、その辺りを考慮してのことなんだろうか。
対人間用ではなく、対ラグズ(獣屋さん)用だと思えば、なるほど、強力かもしれない。
今ごろ気付くなよ、俺。


埋蔵アイテム。
これまで基本的に砂漠限定だったが、今作ではかなりのマップに何かが落ちている。
前作で埋まってたあの人は、今作でもやっぱり埋まってる。
たまーに落ちているところが光っていたりと目印がある場合もあるが、普通は目視では確認できず。
おまけに盗賊でも発見率は100%ではないらしく、場所を知らないとよほど運がよくない限りは。
まあ、主人公ユニットを使えば100%手に入れる方法があるらしいので、それは2周目に試すとしよう。
個人的には、こういう攻略を見ないと分からないような仕掛けはやめて欲しいのだが。
これまでは砂漠のマップだけだったし、1つの作品にせいぜい1マップか2マップ程度だったから、よーしおじさん気合い入れて探索しちゃうぞーという気にならなくもなかったが、さすがにこれほどまでに数が多いと。
昔のスパロボの「探索」みたいに、探し出すスキルでもあればよかったのに。
むう。


シナリオ。
前作の主人公に滅ぼされた国の国民。(ミカヤ
前作の主人公。(アイク)
前作のラスボスに国を滅ぼされたものの、エンディングにて再興を果たした国の王女。(エリンシア)
主にこの3キャラの視点で、物語が進行する。
状況によってアイクらとエリンシアらが共闘したり、ミカヤらとアイクらが敵対したりと、結構忙しい。
また、主要メンバーは変わらないものの、末端のキャラは勝手に抜けたり、違う勢力のところに行っちゃったりと、やっぱり忙しい。
一部キャラは敵対している時に説得してその時操作している軍に引き抜くことができるが、引き抜くと今度視点が変わった時に戦力が激減していて悲惨なことになったり。
ついさっきまで操作して育てていた軍が、次の章では視点が変わって敵になってました、と思ったら次の章では更に、ってこともザラ。
能力や装備品は当然自分で操作していた時のままなので、ああちょっとスリープそんなに使わないで回数減っちゃう、ちょ、メティオやめて痛い痛いアーッ。
特に中盤(二部〜三部)はコロコロと変わるので、その辺りはあまり育成しているという実感は湧かないかも。
とはいえ、操作する軍が複数あるおかげで、全く使われないキャラが少ないのはいい点だと思う。
前作のキャラがほぼ登場&今作の新キャラも多数という大所帯なので、これまでのように(外伝は除く)1つの軍を操作していたのでは、そのほとんどが死にキャラになってしまう。
が、3つに分かれていると、どうしても使わざるをえない状況が出てくる。
戦闘には全く役に立たないようなしょっぱいキャラでも、馬に乗っていれば救助係になったり、徒歩でも杖屋さんを体当たりで押したり。
まあ、下手に出撃して油断して殺されると元も子もないので、結局精鋭だけで出撃した方が、簡単になるかどうかはともかく気は楽なんだけどさ。
ただ、最終ステージが18人程度しか出撃できないのは気になった。
や、まあ、人数だけ見れば十分なんだろうけど、それまで3つの軍を操作していた=それぞれの軍にそれ相応の数のエースがいるということなのに、とてもじゃないが全員出撃できる余裕などあったものじゃない。
しかも、強制出撃のユニットも多いと来たもんだ。
そこら辺、もうちょい何とかして欲しかった。
「塔の前で敵の援軍を足止め」「このフロアは俺たちに任せてお前達は以下略」みたいな適当なノリでいいから、最後に活躍の場を与えて欲しかった。


音楽。
印象なし。
シリーズ通して好きな音楽が仰山あったのは聖戦ぐらいだなあ。
セリスとマナ(ラナに非ず)の特殊会話で流れる専用曲なんて、聴いたことがある人は一体どれだけいるというんだ。
まだオールA取得時の専用曲の方が多そうだ。


グラフィック。
ムービーは、あまり覚えてないけど蒼炎より綺麗になったような?
まあ、それほど数が多いわけじゃないし、それ目当てのわけでもないから、違和感を感じない程度ならそれで十分か。
戦闘に関しては、ほぼ常時マップにしていたから印象なし。
一応ボス戦の時やクラスチェンジ直後などはリアルで見たこともあったけど、基本オフにしているものだからねえ。


総評。
シリーズのファンで、前作をやったことがある人なら買いでしょう。
その前提の敷居が結構高いのは否定できないけど。