SWAN SONG

極限状態物。


システム

タイトル画面やコンフィグなどのフォントが独特(書きなぐったような文字)で、目的の機能がどこにあるのかが非常に見づらい。
雰囲気は出ていたから、一長一短か。
見難いといっても分からないわけじゃないし、慣れれば別に問題はないし。
まあ、いいのではないだろうか。


セーブ数は選択肢の数よりかなり多く用意されているので数としては問題はなかったが、セーブに3クリック要する(システム→セーブ→決定)のにちょっとムッとした。
クイックセーブがあるとはいえ、ねえ。
そう考えると、やっぱ1クリックでセーブもロードもできる最近の戯画のシステムはいいな。
BBRは、見方によってはいい感じに地雷だったけど。


シナリオ

クリスマスイヴに突如大地震に襲われ、崩壊した世界に取り残された主人公その他諸々の生き残りが、食料を探したり生存者を探したり殺しあったりしながら終焉を迎えるゲーム。

2周目以降に幾つか選択肢が追加されるのだが、基本的に1本道。
選択肢の数はそれなりにあるが、大半がシャドウゲイト的に即死するので分岐は少ない。
これらのことから、1周目のエンディングはバッドエンドを除けば固定されているのだが、これがなかなかに救いがない。
救いがないのだが、2周目以降に行けるトゥルーエンドと呼ばれるようなエンディングは取ってつけたような不幸ではない終わり方(「幸せ」ではない)なので、あまり。
演出的にも、1周目で迎えるエンディングが描きたかった終わり方なんでしょう。
トゥルーエンドは加奈の生存エンドのようなものだ。
物語としては蛇足だけど、商品としては必要、みたいな。


極限状態物のお約束なのか、「少人数の生き残りが集まる→何割かが発狂する→死ぬ→他の生き残りを探す→死ぬ→新興宗教が出来る→死ぬ→クライマックス→なんかうやむや」という流れは、順番こそ多少違いがあれどほとんど変わることはない。
特筆すべきは、発狂者。
発狂というよりは、狂気に囚われたといった方が正しいか。
漂流教室の関谷や教師、ドラゴンヘッドのアレはいきなり狂った(それはそれで仕方ないのだろうけど)というイメージしかなかったが、こちらは、そこに至るまでの過程が丁寧に描写されているので好感度高し。
何も間違っていないのに、何も悪いことはしてないのに、些細なすれ違いから、少しの方向性の違いから、徐々に仲違いを始め、暴走し出し、最期は決定的に。
主人公を始め、主要メンバーには普通とは少しずれた(超越した)思考の持ち主が多いが、その中で一番普通に近いメンバーがそうなったのは、なかなか考えさせてくれる。


物語の進行上、結構頻繁に視点が変わり(時系列に沿っているので混乱することはない)、それぞれのキャラクターの心情などが分かるのだが、その際にそのキャラのカットインというかアイキャッチが入る。
これがまた秀逸で、基本的に変化はないのだが、あるキャラだけ進行に合わせて表情が変化していく。
それで、最終的には。
うん、いいなあ。


音楽

音楽はちゃんと用意されているが、流れないシーンの方が多かったような気がする。
それはそれで演出としてグッドだと思うのだが、冷える晩に、1人でぽちぽちクリックして読み進めていると、舞台設定も手伝って余計に寒くなって人恋しくなってしまう点には注意。
OPムービーの曲(ボーカルではない)が、雰囲気がたっぷり。
終盤に劇中でも使われるのだが、その使い方も上手いと思った。
作曲は、C†Cと同じくFunczion SOUNDS
安定。
あと、まおまおもいたよ>松島さん



結構特徴的な絵柄。
萌へ萌へしていないのでそれ目当ての人にはちょっとあれだが、萌へ目的でこのゲームをやる人はいないか。
特に造詣が崩れることなく、安定して高いレベルだったと思うので、個人的には満足。
不満があるとすれば、残酷シーンのCGがないこと。
それ目的でやったわけではないが、全くない(あったとしても返り血を浴びてるぐらい)のは少々萎える。

戦闘では串刺しや切断したCGがあった方が盛り上がるし、殺害現場だってCGがあった方が敵に対する憎悪が得られるし。
無理に自粛しない方がよかったと思うんだけどなあ。


総評

上の下ぐらい。
極限状態物(漂流教室とかドラゴンヘッドとか)が好きな人には安心しておすすめできるかと。
ハッピーエンドじゃなきゃいやだい、って人には向かないのでそこのところだけは。