細分化

ファミコンの話で盛り上がることは多い。
その大きな要因の1つに、皆が共通してプレイしているゲームが多いからという点が挙げられると思う。
良ゲーと糞ゲーがハッキリしていた時代。
小遣いが少なく、本当に欲しいゲームしか買えなかった時代。
友達が新しいゲームを買ったと聞けば、こぞって遊び倒した時代。
そりゃ、遊んだことがあるゲームが被るのは必然だ。
今のように時間がかかるRPGやS・RPGではなく、サクっと遊べるACTやSTGが主流だったというせいもあるだろう。
友達の家に行ってRPGをプレイするなどということは、アクション系に比べて圧倒的に少なかろう。
せいぜい鍛えたデータを見せびらかすか、詰まったポイントを教えてもらうか、その程度だと思われる。


しかし、今はどうだろう。
ジャンルは1人で長時間遊べるRPGなどに偏り、遊びに行った先で気軽にプレイすることなんてできない。
既に各人が好きなジャンルが確定しており、興味のないジャンルに手を出す機会は少なくなっている。
ファミコン一人勝ちだった時代とは違い、様々なプラットフォームがある。
かつ、全プラットフォームを合わせると、発売されるゲームの量は昔の比ではない。


格闘然りボード然りパーティー然り、多人数でわいわいできるゲームは、メンバーが固定された閉じた世界の中では、簡単に共通の話題となり得るゲームだ。
だが、開かれた世界に出た時、初対面の人と共通の話題になり得る可能性は、決して高い確率ではない。
「クトソンの毒は危険だよねー」と言っても、頷く人間などいないのだ。


故に、ゲーム好きが10人集まっても、最近のゲームの話を咲かせることができない、ということも可能性としては十分あり得る。
ゲーム好きが集まり、更に「格ゲー好き」「MMO好き」などとグループ分けされて、ようやく共通の話題を持てる、といった感じだろう。


そういうことを考えると、ゲーセンに通う者同士はコンシューマしかプレイしていない者同士に比べ、共通の話題を持てることが実に多い。
1ヶ月の間に稼動するビデオゲームは十分把握できる数で、アクション系が主流(カードが導入されてから必ずしもそうは言えなくなってきたが)なので新作が出たらとりあえず1コイン遊んでみる、ということも可能。
プレイしたことがないゲームでも、狭い空間にあるゲームのことだ、見たり聞いたりして多少の知識は身につく。


オンラインゲームは、その最たるものだろう。
ゲームの中で出会った者同士で、そのゲームの話題を持てないということはあり得ない。


さて、当初何を言いたかったのかを、綺麗さっぱり忘れてしまった。
だが心配ご無用。
こういう時に役に立つのがケムコだ。


普通の人間は、ケムコなんてメーカーのことは知らない。
ナムコじゃないの?」などと聞き返されるのが関の山だ。
だが、そこで引かぬ媚びぬ省みぬのがケムコニスト。
巧みな話術と誇大した表現で、強烈にケムコをプッシュしまくる。
そこで少しでもケムコに興味を持ってしまったらゲームオーバー。
敬虔なケムコニストは亜光速でドラッケンやシャドウゲイトを起動し、コントローラを持たせてモニタの前に立たせる。
後は、バスローブを纏ってソファに座り、腕の中のシャム猫を愛でながら、グラスの中で転がしているワイン越しに哀れな犠牲者が泣き叫ぶ様をあざ笑うだけだ。
無様に薄汚く命乞いをしたとしても、決して救われることはない。
ケムコの貯蔵は無限大。
代わりにダウボーイや時空の旅人が起動されるだけ。
ケムコニストの弱点がスーパードラッケンやシャドウゲイト64であるということを知らない者には、決して抜け出すことのできない無間地獄。
なんて、邪悪。
仮に、クリアできたとしよう。
だが、身も心もケムコに陵辱され尽くされた犠牲者に対して、ケムコニストが労いの言葉をかけることはない。
そればかりか、無慈悲で、残酷で、とどめとなる一言を紡ぐ。


「やあ、よくクリアしたね。――おめでとう、今日から君もケムコニストだ。」




結論としては、いつも通りケムコ最強ってことで。